H27年度補正ものづくり補助金の募集開始

先週金曜日から平成27年度補正予算のものづくり補助金の募集が始まりました。正式には「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」です。

<東京都中小企業団体中央会>

https://www.tokyochuokai.or.jp/index.php/component/content/article/4-topics/1266-27.html

概要は以下の通りです。

募集期間:2月5日(金)~4月13日(水)

採択決定:6月中(例年パターンで行くと6月初旬?)

今回は、公募要領に「原則、公募は1回限りです」との記載がありますので、2次公募はないようです。しかし、26年度補正の応募状況を見ると応募は減少傾向にあるようにも見られますし、直接人件費が補助対象外となったことから、システム開発系の応募減少が想定されることから、内容次第とは思いますが、採択率が上がるかもしれません。

いずれにしろ応募して始めて採択されますので、設備投資等を検討されている中小企業者の方は、ご検討ください。特に、新たに設けられた「高度生産性向上型(補助上限額:3000万円)」は、「最新モデルを用いた設備投資」が対象ですので、老朽設備の更新を考えられている製造業の方には打ってつけと思います。

補助金への応募前に考えること

2月29日より27年度の補正予算事業「海外ビジネス戦略推進支援事業」の公募が開始されました。今週にはものづくり補助金の公募も始まりそうです。

さて中小企業支援策の中で、長らく続く低金利時代にあっては、ものづくり補助金を初めとする補助金は、中小企業の経営改善に効果的な制度です。その意味では、中小企業は補助金の積極的な活用を考えることが、重要な課題と思います。

しかし補助金の応募にあたっては、冷静に考えておかねばならないことがあります。

1.自社負担分の回収は出来るのか

中小企業が利用できる補助金には補助率が有り、全額が補助されないものが大半です。従って、自己負担分の回収が出来るかは、重要な問題となります。H26ものづくり補助金の例で言えば、補助金の上限額は1000万円(コンパクト型は700万円)で補助率は1/3ですので、500万円以上の自社負担が生じるわけです。これは決して少ない金額ではないと思いますので、申請する内容でどの程度の収益が期待できるのか、対応する事業にリスクはないのか等をしっかり考えておく必要があると思います。

2.補助金に関わる手続き

どのような補助金であってもその原資は税金です。税金を受け取るためには、様々な手続きと書類が必要となります。これが結構な手間と時間がかかります。特に人件費は、金額次第では何百頁の書類を作成しないといけません。決して楽な業務ではありません。もちろん、補助金対象ではありませんが、外部専門家に然るべき費用を払って作成してもらうことも出来ますが、週報や実績報告書の内容などは事業者でなければわからないことも多く外部専門家も万能ではないのです。

このような事務負担は、企業の見えないコストとなりますので慎重に考えることが必要です。

また書類が整わない場合や規定に反した支出は補助金が交付されませんので、事務負担を軽視してはいけません。

3.収益納付

よく事業者の方とお話をしていて勘違いされていると思うのは、補助金は「貰い得」と勘違いされていることです。上記の様に自己負担分はありますし、補助金申請事業で利益が上がれば、事業終了後5年間は国庫への収益納付があります。もちろん事業終了後の追加コストや一般管理費等はコストに参入できるので、利益は相当に圧縮されるとは思いますが、思いの外開発商品が売れた場合は、相当額の納付義務が事後的に生じますので、注意が必要です。

以上の様なことから、補助金とは中小企業の投資リスクを一定割合で国が負担してくれるものだ、という認識で応募を考えることが重要と思います。