事業再構築補助金情報(3)

 ようやく事業再構築指針がでました。詳しい内容は指針の発表と同時に公表された「事業再構築指針の手引き」(難解です)を参照下さい。ここではその要点だけをご紹介致しますが、その前に既に公表されている基本要件を確認しておきます。
【売上高要件(一般)】
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
【売上高要件(特別)】
上記条件に加えて、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少していること

【事業再構築の定義】「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」又は「事業再編」の5類型を指し、そのいずれかに該当する事業計画に基づくもので、その要件は以下の通りです。

「新分野展開」「事業転換」「業種転換」

類型製品等の
新規性
市場の
新規性
売上高要件
新分野展開新製品売上高が
総売上高の10%
事業転換新たな製品等の属する事業が
売上高構成比の最も高い事業
なること
業種転換同上

「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」については、製品・サービス、市場とも新規性が求められています。
【製品等の新規性】①過去に製造等した実績がないこと、②製造等に用いる主要な設備を変更すること、③(自社の)競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと、④定量的に性能又は効能が異なること
ただし、この新規性は、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性でもよい
【市場の新規性】①(自社の)既存製品等と新製品等の代替性が低いこと、②既存製品等と新製品等の顧客層が異なること(任意要件となっているがより高い評価が受けられる?)

類型日本標準産業分類上の相違の程度難易度
新分野展開大分類、中小細分類とも変更無し
事業転換大分類変更無し、中小細分類のいずれかが異なる事業
例:日本料理店が新たに焼き肉店を開店する
業種転換大分類が異なる事業
例:製造業から情報通信業(データセンター事業)に転換

「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」の差は、既存事業と新規事業の日本標準産業分類上の相違の大きさで分けられています。新分野展開から事業転換、業種転換に行くに従い、転換事業の難易度(リスク)は高くなると考えられます。

業態転換

  1. 「業態転換」とは新たな製品・サービスを製造・提供することにより、5年間の事業計画で売上高の10%以上となること
  2. 製造方法等やサービス提供方法の新規性
    a)過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
    b)新たな製品等の製造方法等に用いる主要な設備を変更すること
    c)(現在の事業の)競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと
    d)定量的に性能又は効能が異なること
  3. (製造業限定)製品等の新規性(「新分野展開」の4要件と同義)
  4. (商品又はサービスの提供方法を変更する場合)既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの、又は非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するデジタル技術の活用を伴うもの

事業再編

「事業再編」とは会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うこと

補助金申請の申請可能性判断

最後に事業再構築補助金に申請するにあたって、申請可能性の判断を簡単に解説しておきます。考え方は以下の手順となります。

  1. 売上高要件(10%以上の減少等)の適否判定
  2. 自社事業の現状と将来の分析と予測(5~10年程度)
  3. 新製品案、新事業案の実現性と市場性、採算性等検討
  4. 事業再構築取組みにあたっての人材の有無と投入マンパワーの確認
  5. 投資資金の規模および新規調達可能性の確認