H28年補正ものづくり補助金解説(1)

増額要件について

今回の補助金事業で特徴があるのは、平均賃金のアップによる補助上限額の増額です。
具体的には以下の様になっています。

【2倍増】一般型、小規模型の事業類型の事業者について、雇用の増加または維持を行い、従業員の平均賃金の5%以上の賃上げを実現することを表明することにより補助上限額を2倍にできる。
【1.5倍増】上記の2倍増の要件に加えて、最低賃金グループ(全従業員の下位10%)の平均賃金を10%以上増加することで、更に補助上限額を1.5倍(2倍増と合わせて3倍)にできる。

この増額要件を利用する場合はいくつか注意点があります。

1)増額の取り消し

増額要件は「応募申請要件であり、かつ、実績要件であること(手引き14頁、47頁記載)」となっており、実績で増額要件を満たしていない場合は、「補助金上限額の増額分を取り消し」されてしまいます。

2)実績要件の確認

実績要件の確認期間は、事業終了時点(補助事業実績報告書提出月)の前月から過去6ヶ月間となっています。また要件には、「雇用の増加または維持」も含まれていますので、定年退職者が予定されている場合や自己都合退職者が発生した場合には、新たな雇用も求められています(手引き15頁注6)。(平均賃金の算定にあたっては、退職者や休職者等、新入社員等は除外可能)。

3)事業終了時点と実績対象期間

事業終了時点は補助事業実績報告書の提出月となっていますので、一般的には補助対象期間一杯まで補助事業を行った場合は、2017年7月~12月(小規模型の場合は6月~11月)が実績対象期間となり、基準は前年同期ということとなります。過去の事業経過からすると、交付決定(手引き9頁参照)は、4月ないし5月となりますので、交付決定後すぐに賃上げを行わなければならないということになります。設備購入だけで事業期間が短い場合は、交付決定前に賃上げを実施する必要もありそうです。

4)システム入力と増額のデメリット

賃上げ状況の確認については、全従業員の情報を「インターネット上のシステムに入力いただく必要(手引き15頁、23頁)」となっております。実績報告にあたって賃金台帳の提出等も求められ、確定検査時での確認作業も行われると思われます。従って、本要件を利用した場合は事務負担もそれなりに増えると思います。また、補助金増額額と賃上げによるコストアップ額との関係次第では、必ずしも得ではない状況も想定されます。
(補助金は一時的経費節減、賃上げは継続的費用増)

5)法定最低賃金の遵守

補助事業者には、実績確認期間において法定最低賃金を上回っていることが求められています。万一下回っていた場合は交付決定が取り消され、補助金は1円も受け取ることができません(手引き49頁)。

以上の様なことを考えると、増額要件の申請は慎重に行った方が良いと思います。過去の補助事業では、採択後の事業類型の変更は認められておりませんので、その意味からも申請時に十分な検討が必要です。

以上

平成28年補正ものづくり補助金解説(2)審査の観点について
平成28年補正ものづくり補助金解説(3)加点項目について

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